2018/9/16(日)22時30分~放送の「高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと」で、朝井リョウが映画「寝ても覚めても」(原作・柴崎友香/主演・東出昌大/ヒロイン・唐田えりか)を観た感想を語った。
朝井リョウ:最近、私、「寝ても覚めても」(映画)観たんですよ。
高橋みなみ:えー、いかがでした?
朝井リョウ:この番組で東出さん(東出昌大)のお話してさ、その後にインチキコンサルの話して滅茶苦茶にしちゃったけどさ、東出さんのいい話したじゃない。
高橋みなみ:あったね。
朝井リョウ:私、その原作の柴崎友香さんの小説、もともとすごく好きで、
高橋みなみ:うん。
朝井リョウ:その、すごいいいんですよ。柴崎さんってなんか時間と空間の捉え方が独特の方で、すごい台詞とかも毎回。「あ、素敵な小説だな」って思いながら読んで。
高橋みなみ:へー。
朝井リョウ:「二人ががっちゃんこ! 」ダサい言葉使っちゃった。
高橋みなみ:びっくりした!今、声張るから意味が分からなくて今。
朝井リョウ:柴崎作品とヨブンのことが公式に応援している東出昌大さんががっちゃんこした映画。
高橋みなみ:あぁ、何でいま張ったの、そこだけ?何?
朝井リョウ:盛り上がるかなと思って。
高橋みなみ:びっくりした。
朝井リョウ:何でここで話したいかと思ったかというと、allnightnippon.comの中の人に観てもらいたい映画だからです。
高橋みなみ:どうしたー?
朝井リョウ:つまりー、私、allnightnippon.comに苦言を呈しましたよね。正式に。
高橋みなみ:ありましたね、リアル苦言。
朝井リョウ:そう、正式に更新も止めて頂いて。こんな番組ないよね。
高橋みなみ:すごいよね。
朝井リョウ:本当にさ、なんという態度でしょ。本当にお金も引っ張ってこない番組が。
高橋みなみ:でもまだ言いたいことがあるってこと?
朝井リョウ:言いたいことというか、伝えきれなかった放送の中で、私たちはテレビブロスに出させてもらった時に、
高橋みなみ:そうね。
朝井リョウ:テレビブロス内で結構ちゃんと、あのー、何が良くないかというのを話したじゃないですか。
高橋みなみ:(笑)テレビブロス内でですよ。すごくないっすか(笑)
朝井リョウ:話しましたよね。で、その内容ってのが、allnightnippon.comがやってるのはメディアミックスの1つであって、ラジオを文章に置き換えるっていう、何か媒体が違うものに1つのものを置き換えるっていう時には、その媒体に適した情報の出し方っていうものがあって、
高橋みなみ:うん、そうね。
朝井リョウ:それを踏まえて行われているものはとても素晴らしいメディアミックスになっているっていうことをお話しましたよね。
高橋みなみ:はい。
朝井リョウ:っていうのが行われているのがこの「寝ても覚めても」(映画)だったんですよ。
高橋みなみ:あー、そういうことか。
朝井リョウ:そうなんです。今回、ストーリーとかはもう柴崎さんの小説がもともと素晴らしいので特に言及しないんですけれど、演出がすごい素敵で、
高橋みなみ:演出?
朝井リョウ:そのやっぱ言葉に、だから台詞がない、つまり小説を映画にする時、台詞をそのまま映画にした場合、映画にしなくて別に良かったじゃんってなるわけですよ。
高橋みなみ:あー、そうか。
朝井リョウ:そうそうそう。
高橋みなみ:小説の中では、
朝井リョウ:「中で書かれてるその言葉使ってるだけじゃん」っていうことになっちゃうと、「じゃあ小説読めばいいじゃん。」ってことになっちゃうので、やっぱそこに俳優さんの演技であったりとか、音楽の使い方であったりとか、どこからどういう角度で映すかみたいなことで監督さんの演出力が問われると思うんですけど、なんか恋愛の映画なのでね、その東出さんが唐田えりかさんというヒロインの女性とまぁいろいろ紆余曲折ありながら、こう恋愛関係を築いていく話なんですけれども、私がすごい「あ、いいな!ふぅ!」って思ったのが、
高橋みなみ:何?
朝井リョウ:東出さんが洗い物してるシーンがあるの。
高橋みなみ:うん。
朝井リョウ:で、唐田さんが東出さんに抱きついてくるシーンがあるんですよ。
高橋みなみ:何それ、キューン。
朝井リョウ:洗い物をしている東出さんに。ガッと。唐田さんがちょっと不安なことがあって、ぐっと身体を寄せるシーンがあるんですけども。で、そこ台詞、そこから一切無いの。で、カメラもちょっと引きの映像になってて、
高橋みなみ:ほうほう。
朝井リョウ:で、引きの映像から台所の中で東出さんが、寄っかかっていた唐田さんにちょっと戸惑いながら、でも手に泡がついてるから、
高橋みなみ:まぁ、どうしよう。
朝井リョウ:でも不安に思ってなんか近づいてきてるってのは分かるんだけど、手に泡がついてるからどうしようってやった後に、もういいやっていって、手に泡がついたまま抱きしめるというシーンなんですよ。
そこのさ、数秒の逡巡があるわけ。
高橋みなみ:うん。
朝井リョウ:この泡を拭きとろうか、なんか今洗ってるから、もういいや、抱きしめよう。服に全部泡とかついちゃうけど、っていう数秒間が私、「文章で出来ない!」って思ったの!
高橋みなみ:へーーー!
朝井リョウ:やっぱそういうの映像だからいいじゃん。
高橋みなみ:そうねそうね。
朝井リョウ:台詞も一切ないとか、無言なの。でも「泡がついても抱きしめるんや!」って、いうふうに私はなるんですね。
高橋みなみ:(笑)何で開催弁だったりするの?(笑)
朝井リョウ:そういう部分がすごいたくさんあって、なんかそういうのがたくさんある映画って私はすごい素敵な映画だなと。
高橋みなみ:それって誰の匙加減で?
朝井リョウ:やっぱ監督ですよ。多分。
高橋みなみ:ふぁ、重要だね。
朝井リョウ:で、そう監督が多分本当にね。今1個だけ挙げましたけど、そういう場面がめちゃめちゃたくさんあるの。
高橋みなみ:うーん。
朝井リョウ:だから、監督が小説を映画にする意味をめっちゃ考える方なんだなってのが観てるだけですごいよく分かる。足跡が見える、その思考の。っていうのがすごい素晴らしいと思ってるし、
高橋みなみ:うん。
朝井リョウ:あとやっぱ、柴崎さんの原作っていうのは台詞そのものもすごい素敵で、あのー、私すごい真似しよっと思ったシーンがあったんですけど、
高橋みなみ:ほう。真似しよう?(笑)
朝井リョウ:その、東出昌大の真似しようと思ったシーンがあったんですけど、
高橋みなみ:うん。
朝井リョウ:その、東出さん、まぁ素敵な男性なんだけど、その素敵さが滲み出ている、でもその人の素敵さを滲み出すにあたってさなんか、分かりやすく例えたら、お婆ちゃんに席を譲るとかいうシーンがあったら、鼻白むじゃないですか。もう、はいはい、みたいな。分かりやすっ。
高橋みなみ:(笑)そうね。そらそうだなってなるよね。
朝井リョウ:そう。そういうことせずにこの人は誠実な人なんだなってのが分かるのが1個あってさ、
高橋みなみ:うん。
朝井リョウ:電話をね、唐田さんが東出さんに電話をかけるシーンがあって、で、電話ってちょっと緊張するじゃん。人の時間を邪魔する、申し訳ないなって。私も電話するの苦手なんですよ、人に電話かけるの。で、唐田さんも結構そういう心情だったの。で、東出さん、ぱって取って一声目。
「もしもし」じゃないんですよ。「電話ありがとう」って言うの。良くない?!
高橋みなみ:うわっ・・。
朝井リョウ:ちょっとごめんって思いながらかけてるの分かってて、
高橋みなみ:全部持ってかれる。
朝井リョウ:そう、真似しようと思って!
高橋みなみ:(笑)
朝井リョウ:良くないですか?!電話かけてさ、相手にさ第一声で「電話ありがとう」って言われたらすごいいいよね。
高橋みなみ:じゃあ絶対それ言うのね?私がかけてきたらそれ言う?
朝井リョウ:今、忙しいんだけどっ!って言う。
高橋みなみ:何でだよ!?(笑)真似するって言ったじゃん!
朝井リョウ:っていうので、「寝ても覚めても」は言葉にしてる部分、柴崎さんがもともと言葉にしてる部分で素晴らしいところと、そうじゃなくて、言葉にせずとも、泡ついたままでも抱きしめるみたいなのが、全部がっちゃんこしていて、本当に素晴らしい映画なんで、allnightnippon.comの中の人、絶対観て下さい!!
高橋みなみ:(笑)
朝井リョウ:これを観て記事を書いて下さい。いろんな番組の。
高橋みなみ:また一個増えた(笑)
朝井リョウ:よろしくね~。
高橋みなみ:何なんだよ~!
朝井リョウ:本当にすごい素敵な映画です。皆さん、ぜひ観て下さい。