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朝井リョウ、「ぼくのわたしのショートショート発表会2018」を振り返る

高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと

ニッポン放送「高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと」(毎週日曜22:30~23:00)の2018/11/11(日)放送回にて。
朝井リョウが地元の岐阜県で行われた中高生向けのた自作短編小説のイベント「ぼくのわたしのショートショート発表会2018」(会場:ぎふメディアコスモス)を振り返っていた。

朝井リョウ:はい、皆さん、来て頂いてね、大変ありがたかったんですけど、岐阜県でやったのは中高生の人が描いた作品を私が読んで、そこから「あっ、素敵だな」と思ったものをいくつか選んで、選抜メンバーですよね。

高橋みなみ:選抜したのね。

朝井リョウ:選抜メンバー選んで、その書き手の方に来て頂いて、朗読してもらってお話するという機会だったんですけど、

高橋みなみ:わ~、すご~い。

その人にとっての小説となる題材とは?

朝井リョウ:中高生のさー、あのー、これもうベタですけど、やっぱ感性というのがやっぱあってさー、なんか。

高橋みなみ:どう違うの?我々と。

朝井リョウ:やっぱあのー、今から汚い大人はね、汚い大人はさー、

高橋みなみ:止めてよ~。うちら汚いみたいじゃ~ん。そんなことないよ~。

朝井リョウ:だからあのー、私がよく言ってるのは、例えばさー、大きい隕石がね、この星にね。この話、ラジオでもしたことあるかな。大きい隕石が落ちてきました、今ってなったらさ、全員さー、書き残すじゃないですか。そんな大きいことが起きたら。

高橋みなみ:そうよね。

朝井リョウ:何こんなことが起きたって。なんか文章に残すと思うんですよ。でも、それは小説じゃなくて記録じゃない。大きなことが起きた時に書き残すのって記録じゃない。

高橋みなみ:うん。

朝井リョウ:で、その発生する出来事がちょっとずつ小さくなっていくごとに、書く人と書かない人が分かれていくわけね。

高橋みなみ:はぁ~(納得)。

朝井リョウ:隕石だったら全員書くけど、たとえば小石に躓いたとかだったら、かなりもう100分の多分5とかになるよね。書き残す人っていうのは。
で、どんどん発生する出来事をすごい小さく小さくしていったときに、どこかで自分しか書き残さないことっていうのがあるわけですよ。どこかに。

高橋みなみ:お~、はい。

朝井リョウ:それが、その人にとっての小説になるっていうふうに私は。

高橋みなみ:いい話~!

朝井リョウ:えっ?いい話してる?!こんにちわ~、朝井リョウで~す!

高橋みなみ:いやいや、そういうのいらない、いらない(笑)

中高生ならではの感性について

朝井リョウ:で、なんかまぁ大人になるっていうのがつまり書き残さなくなっていくことだなと思っていて、やっぱ慣れていくじゃん。この世界での出来事に対して。初めてのこともなくなっていくしさー。
でも、やっぱり中高生の人、「あっ、それで一編書くのね」っていうことがたくさんあって。
で、今回私選べなかったんだけど、すごい面白っ!と思ったのが、あのー、小説の内容がね、その勉強が、勉強の成績が下がってしまって、でもその、塾に行ったら成績が上がりましたっていう出来事だったの。

高橋みなみ:うん。

朝井リョウ:で、その小さい出来事。まぁでも、学生のときは大きいけど、その出来事をさー、言葉でさー、今私達が表すとさー、「その後、努力でどうにかなった」とかそういう言葉になるじゃない。現象と言葉が割とまぁ一致する、スケールが一致するんだけど、やっぱり、その年代の人はさ、その出来事を大きく捉える感性がまだ残っているから、塾に行って成績が上がったことをね、「不死鳥の誕生」っていうタイトルで書いて、私は天才かと思ったんですよね!

高橋みなみ:スゴイ!

朝井リョウ:スゴイでしょ?!思わないでしょ、今。

高橋みなみ:今なんか衝撃だったの。不死鳥の誕生?!

朝井リョウ:不死鳥の誕生よ。言える?!

高橋みなみ:出てこない。

朝井リョウ:喉がたとえば今ちょっと不調だけど治った。私という不死鳥が今誕生しましたというふうに思えないじゃん(笑)

高橋みなみ:でもなんかスゴイ。なんかハッとさせられちゃった。

吉川結衣さんの作品「日曜日の消し方」を選考した件について

朝井リョウ:でしょ。やっぱそういう捉え方がすごいたくさんあって。
で、今回、大トリに「日曜日の消し方」という作品を選んだんですけど、それがまさにすごい素敵な、「それで一編書くのはあなただけの感性だからすごい大事にしてね」みたいなことを偉そうに喋ったんですよ。
で、それは、きっとこれからその感性のまま生きていくと、多分忘れたほうがいいことも覚えていて、なんかぐちゅぐちゅ悩んじゃったりとか、人より多く悩んじゃったりとかするかもしれないけど、でもそれはギフトだからみたいなことを。イイこと言ったの。上から。
そしたら、その2日後ぐらいにね、運営の人から「ありがとうございました。イベント盛況に終わりました」みたいな感じで連絡がきてさ、「日曜日の消し方」っていう作品を書いてくれた方が、これホームページにもう名前出てるから言っちゃっていいと思うんですけど、吉川結衣さんっていう女の子なんですけど、「吉川結衣さんが文芸社文庫NEO小説大賞で大賞を受賞し、本が出ることになりました。」っていうのがさ、その2日後にきてさー、

高橋みなみ:すご~い!鳥肌立った~。

朝井リョウ:何偉そうになんか「すごいギフトだから」って。もうさー、ギフトを活かしまくってるわけですよ。

高橋みなみ:いや、でもスゴイねー!

朝井リョウ:あと、選べて良かったと思って。それさー、選んでなかったら全然無いじゃん。審美眼が私に(笑)

高橋みなみ:審美眼(笑)でもやっぱり朝井さんの中でも、あ、この、

朝井リョウ:めちゃくちゃ巧かった。うん、めちゃくちゃ巧かった。本当に。

高橋みなみ:わぁ、でもなんかスゴイ鳥肌立たない?

朝井リョウ:え~、なんか良かったです。鳥肌立たせられて。

高橋みなみ:いや、違う違う、違うよー(笑)

朝井リョウ:(笑)その子が凄くてね。

高橋みなみ:スゴイなーと思ったの!

朝井リョウ:すごい偉そうに言ってすごい恥ずかしなって思いつつ。

高橋みなみ:スゴイな~。

朝井リョウ:ビックリですよね。本当に。

地域性が生み出す中高生の小説の違いについて

高橋みなみ:やっぱ世代によってさ、ちょっと違うの?書くテイスト。違くなるの、これは?

朝井リョウ:いや、でもやっぱね、世代もあるかもしんないけど、また面白かったのはね、今年はなんか、それまで岐阜市内とか岐阜県内の学生さんしか送れなかったのよ。
なんだけど、今年はちょっと告知の幅を増やしたらしくて、関東の高校生の子とかから送られてきてたんだけど、やっぱりその、絶対に岐阜の高校生からは生まれない一文みたいなのが関東の子が送ってくれる小説には入ってて。
本当一行目で「私の最近の失敗は街を歩いていたらZIPのインタビューを受けてしまったことだ」っていう一文から。
これ絶対岐阜では出てこないのよ。この小説は。もう絶対に東京の高校生じゃないと絶対に出てこないの。

高橋みなみ:本当だ~!

朝井リョウ:とか、あのー、慶応の付属の高校生が主人公の話で、その私知らないですよ、それ真実か分かんないけど、その小説の中だと、その付属の中で進学する学部、大学の学部、ここに行くっていうのが決まると、学生証の色が分けられるみたいな。で、その学部によって正直、「あっ。まぁ、その学部なのね・・」みたいなのがあるみたいで、カラオケ店かなんか行った時にカード作る時にみんなで学生証を出すのがすごく嫌だっていう小説もあって。

高橋みなみ:へぇ~(驚き)。

朝井リョウ:これもまぁ来ないのよ。岐阜の高校生からは。

高橋みなみ:そうだよね。

朝井リョウ:というのがあったりしてね、やっぱ地域によって全然。八王子からは多分、(早口で何か喋る)がくるんだろうなって。

高橋みなみ:いやいや待て待て(笑)そんな都市じゃないわ。

朝井リョウ:いうふうに思いを馳せたりとかしながら、

高橋みなみ:割とまったりしてますから。

朝井リョウ:でも久しぶりにね、チームYの人も現場にいたりとかしたんですけど、やっぱ久しぶりにね、「小説家だよ!」っていう一面、見せることができたと思うとります。

高橋みなみ:いや、誰だよ?(笑)今の誰や?(笑)

朝井リョウ:思うとりますけどね。忘れないで下さい。

高橋みなみ:(笑)

朝井リョウ:おめでとう、吉川さん!吉川さん、おめでとう!

高橋みなみ:いや、すごい、本当に。本当にすごいわ。

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