InterFMラジオ番組「Daisy Holiday」(毎週日曜25:30-26:00)の2019/8/4(日)放送回にて。
細野晴臣と小山田圭吾のラジオトークが行われていた。
インタビュアー:細野さんはいろんな国の音楽などを聴かれて取り入れたりもされてますけど、新しい発見とかってありますかね?
ここ最近。
細野晴臣:今はね、水平世界じゃなくて、垂直世代のほうに入り込みますから。
インタビュアー:垂直世代というのは?
細野晴臣:時代ですね。時間。
インタビュアー:なるほど。
細野晴臣:やっぱり1930年代、40年代、50年代あたりの空間が好きなんですよ。
それを今の現実の世界に当てはめたたりもしますけどね。
ニューヨーク行ったら、「あっ、あるな」とかね。そういう世界が。
インタビュアー:まだ残ってるみたいな?
細野晴臣:残ってる。
で、東京でも探しますけど、どんどん消えてく。今年になってどんどん消えてる。
インタビュアー:このあたりはでもまだ古い東京が残ってますね。
細野晴臣:まぁ、ある程度は残ってます。
あのー、こないだやってましたけど、ぶらタモリで。
インタビュアー:その戦前というか、まぁ30年代から50年代にかけてにこう、興味が働いたきっかけは何だったんですか?
細野晴臣:何なんでしょうね。
インタビュアー:自然とそうなったという感じなんですか?
細野晴臣:そうですね。
インタビュアー:もう地球上のあらゆる音楽は聴き尽くした感というところで、むしろ歴史をさかのぼったほうが発見が・・
細野晴臣:そのほうが発見が多いんですよね。昔の音聴くと「今出来ない」と思うんですよ。
昔は若い頃はたとえばカリブの音楽聴いても、「あっ、できない」とかね思いましたけど、今は「40年代の音はどうやって作るんだろう」とかね。そういう興味がすごいあるんですよ。
インタビュアー:テクノロジーは進んでるわけじゃないですか。
そういうシミュレーションというか、ことはできそうな感じがありますけど、細野さんとしては違うものなんでしょうか?
細野晴臣:う~ん。まぁ僕もシミュレーションでやってたりしましたけど、まぁあの何だろうな、え~っと、東京の特に港区なんかもドンドン古いものがなくなって、新しいものばかりになってるっていう。
その、音楽もそうなんですよね。
古いものをみんなが好きかっていうとそうでもないし、誰かがこれを残してかないとエッセンスっていうのがあるんで。
それはどういうものなのかちょっと言葉では難しいけど、当時のスタジオの空気とか、マイクの性能もあるだろうけど、人々の生活のこうリズムというか、生活の音がね、こう缶詰のように昔の音楽に詰まってるんで、なんかドキドキするんですよね。
インタビュアー:あぁ・・。その感じっていうのはどうなんですか?小山田君の中では。
そういう時代を垂直に考えるみたいな、音楽を。あります?
細野晴臣:生まれた世代が違うからね。
小山田圭吾:まぁ、違いますけど、その時代にしかやっぱ生まれない音楽とか、っていうのは絶対あると思うんですよね。
今の時代の雰囲気の中で絶対生まれない音楽っていうのはすごいたくさんあると思うし、まだやっぱ50年代ぐらいまでって未来に対する希望しかないみたいな感じだったじゃないですか。
細野晴臣:そうそう。
小山田圭吾:だからやっぱり、その時代までの音楽は曇りなくこう希望を歌えてるっていうか、希望を奏でられてる感じっていうのがあるんですけど、やっぱ70年代以降の音楽ってやっぱすごく陰りみたいなものがどうしても混じってきちゃって、なんかそこはなんか感じることはありますけどね。
でまぁ、おんなじような曲を作れるけど、やっぱりなんか違いますよね。
細野晴臣:あの頃の音楽を今作っても通じていかないっていう恐れもあるし。
小山田圭吾:うんうん。
細野晴臣:なんかだから、50年代ぐらいまでの音楽は僕にとっては「あの世の音楽」って言ってんですけどね。
この世じゃなくて、今となっては。
小山田圭吾:Heavenly Music。
細野晴臣:Heavenly Music。
小山田圭吾:(笑)その感覚はなんか分かりますけどね。
インタビュアー:それはお二人とも、まぁ日本のミュージシャンの中ではものすごく音というところに重きを置いてるっていうか、ものすごく繊細な耳で作業されてるお二人だと思うんですけど、お互いの作品を聴いても、やっぱり音に注意を振り向けてる感じは小山田さんは細野さんの作品を聴いても感じます?
小山田圭吾:もちろんですよ(笑)
インタビュアー:そこはすごくお二人なんか僕は似てると思ってて、やっぱりその音の探求者というところですよね。
それもポップミュージックというフィールド内での音の探求者みたいなところはすごく共通しているなぁというふうに思うんですけどね。
インタビュアー:その「POINT(Corneliusのアルバム/2001年)」で細野さんがこう小山田さんに注目したというのも、そういうようなところもあるのはないかなっていう気がしますね。
細野晴臣:やっぱりあの、世代の違いなのか、こう、
インタビュアー:ふふ(笑)さっきは同世代と思われてた・・(笑)
一同:(笑)
細野晴臣:そうね(笑)
小山田圭吾:「もう分かった。違うって」(笑)
インタビュアー:ようやくこう理解して頂いたっていう(笑)
細野晴臣:若者である小山田君がね、
小山田圭吾&インタビュアー:(笑)
細野晴臣:あのー、僕とは違う音楽へのこう、視点があるっていう。それは何だろうって思う。
やっぱりデザイン性なのかもしれないね。
インタビュアー:あぁ、なるほど。
細野晴臣:それは今の音楽もそうなんですよね。今の音楽なんですよ、だから。小山田君の音楽は。
インタビュアー:それは作曲するというのとまたちょっと違うものですか?
細野晴臣:作曲とは違う。作曲って、何だろうな。昔からもう旋律と和音とリズムっていうのは音楽の要素だったのは、今それが、まぁなんかこう分解されてるっていうか。もうちょっとデザイン的になってるっていう。
ファッションもそうなんだろうけど。そのファッション性っていうのは、僕には企画(or規格)なんですよね。
それは小山田君はまぁ若いからね。
小山田圭吾&インタビュアー:(笑)
細野晴臣:持ってるという。
インタビュアー:逆のベクトルにいきましけど、どうですかね?
細野晴臣:それ、すごい感じる。
小山田圭吾:いやぁ、その、でも、そういうサウンド・デザイン的なことはもう細野さん昔からやってるから、全然(笑)
先駆者だから(笑)
細野晴臣:話がぐるぐる、
一同:(笑)
インタビュアー:結局、どっちが先かの押し付けあいみたいになってますけど(笑)